世界の料理はつながっている

こやまあきゆき

2008年11月28日 01:21

ハンガリー料理の表記がきっかけで、料理名の表記についてコメントが寄せられました。このような投稿は、大歓迎です。
私自身、京都産業大学在学中に《国際交流倶楽部》を、当時京産大におられた8人の海外出身の先生方のご協力で設立し、《国際交流基金》からいただいた《京都の国際機関と国際交流団体》の資料をもとに、すべて訪ね歩き、また外務省や各国大使館にお願いして、料理に関係する資料を送っていただき、更に3年間「財団法人京都国際学生の家」というう留学生と日本人学生約60人が暮らすところで過ごし、当時300冊の外国料理書を収集しました。フランス料理やスペイン料理店で、まずコックの道にはいりましたが、約30年程前に北白川の無国籍「カプリチョース」2店舗(京都のエスニックの草分け)の責任者となり、寮を出たとき結成した《京都食文化研究会》通称「苦胃辛抱」をイゴールライラ(現スロベニアレストラン「ピカポロンツァ」オーナーシェフ。京都大学数理生態学博士)。笹沼英司(京都大学経済学部在学中に欧州の2ツ星・3ツ星レストランを食べ歩き、特にパリの「ジャックカーニャ」と親交を深め、京大卒業後コックに。フランス料理《プチフランセ》支配人などを経て北白川別当町に世界の民族料理「パピルス料理店」設立(72席)現在NZ在住。《苦胃辛抱》には、30カ国ほどの約150名が参加し、10年間活動を続けました。

私が、1番大切にしている事は、食べる事を通して異文化を理解し、馴染みのなかった国や民族・地域の事に多くの人が感心を持ち、結果として日本人自身も常に世界を身近に感じて、様々な問題にも理解できる環境を、食べることを楽しみだけで持てるようになることです。

ただ、料理文化は、調べれば調べるほど現実には、それぞれの民族や国が、自分たちの都合のいいように取り入れていいとこ取りしてきた歴史でもあります。

キエフのメニューにある「プロフ」は、日本人が「ピラフ」と呼んでいる料理のルーツですが、中国・インド・ロシア・欧州で「ピラウ」「ポロ」そして「ピラフ」のように、同じ発音がありません。

日本人は、モンゴル系の人は、中国内モンゴルと現在のモンゴルだけに、住んでいると思っていますが、ヨーロッパロシアの中の「カルムイック共和国」に多く住むカルムイックはモンゴル系で、他にもオイラート・ブリヤートなども同系です。料理のもモンゴルと共通する文化がたくさんあります。

「ハンガリー」のマジャール人も更に古くは「フィンランド」や「エストニア」などのフィン系の人々のルーツもシルクロードの民ですが、逆に欧米系のペルシャ系の人々は、イスラムやアジアン文化を受け入れているので、《トルコ料理》と《ペルシャ料理》の違いを、良く聞かれます。

そんな、カルムイックの料理の書かれた本の写真を、アゼルバイジャンやトルコの友人と見ていると、皆口々に母国と同じ料理と言い出し、自国ではこう呼ぶと書いてくれるのですが・・・

スペイン料理「セサモ」にモンゴルのセックとロシア人のジーマと3人で食べに行ったとき、出てくる料理を2人ともおいしいおいしいと狂喜乱舞。その理由が、2人とも食べてる様々な料理を故郷の味、お袋の味。と言い出したのです。そのときは、日本でも外国料理の中で、家庭にも取り入れられているものがたくさんあるからだろうと思ったほどですが、調べてみると欧州・中近東・中央アジア・ロシア・インド・モンゴル・東南アジア・中国と料理文化は、西に東につながっているのです。
日本人が独自にカレー・ラーメンと呼んでいるのも中国でギョーザと言っても通じないのもその例ですが、料理名を正しく母国の表記・発音どおりに表記している例は、ほとんどありません。

今、私は世界の野菜や果物などの食材の原産地と料理の関係について調べていますが、日本人が呼んでいるこれらの名称は、原産地の表記から変化したいます。その例がカボチャで、カンボジアから来たとおもってその名が付いただけです。レタスなども中国で乳菜とも書かれましたが、欧州系の仲間で、サニーレタスの方が原種に近いそうですが、料理より明確な食材の名前ですら、原種の名前が広まったといえないのが現実です。芽キャベツは、ベルギーのブリュッセル当りで誕生したためにブリュッセルが欧州名で取り入れられましたが、日本では芽キャベツです。なぜ、野菜の原産地と伝播を調べているかといううと、トマトがなかった時代のイタリアン?ビーツがなかった時代のロシア料理?唐辛子のなかった時代のインドや韓国料理?醤油や豆腐のなかった時代の日本?じゃがいものなかった時代のドイツ?おもしろいでしょ。

料理を調べたら世界や人類の歴史が見えてくる。
楽しみましょう。みなさん。

関連記事